不連続作品鑑賞

感想めもです。ネタバレしかない。

知らない映画のサントラを聴く/竹宮ゆゆこ

知らない映画のサントラを聴く/竹宮ゆゆこ

 

朝野の言葉を騙るなんて残された者の傲慢だから、止めたんだと思った。でも違った、このひとたちはもっと勝手で不遜で必死だった。私にとっては俯瞰からみてる物語だからこんな考えが出たけど、このひとたちにとっては現実であり今であり、それ以上に受け入れられない世界線の、自分を取り残していった未来だった。
私の竹宮先生作品の好きなとこは、現実の人間よりも人間をしている登場人物たちの重なりである。終盤近くにはそれいる?と思ってしまう部分があったり、強すぎるご都合感を受けてしまったりするから、正直そんなに好きではない。人間はこんなんじゃなくない?って気持ちになってしまう。でも前述の通り、この世界の人間は現実よりも人間だから、きっとこの世界のいちばんの答えなんだろうなとも思う。結局私がなにより好きだと感じるのは、その作品ではなくこの先生の世界そのものだから、そこまであって存在になっているんだろう。たぶん。登場人物よりも世界のほうに人間らしさを感じているのかもしれないな、なんて思いながら酒を飲みながら竹宮先生の世界に触れ、終盤にかけてあ〜あってなりながらやっぱ好きだって思うのは、恋なのかもしれない。かわいいね。

追記
朝野におこったほんとうのことが『知らない映画』で、枇杷と昴の話が『サントラ』なのかなって考察をみて刺さりすぎて死にました。