不連続作品鑑賞

感想めもです。ネタバレしかない。

砕け散るところを見せてあげる/竹宮ゆゆ子

砕け散るところを見せてあげる

 

ヒーローだのUFOだの、国語の問題だったら問1でこれは何を表しているでしょうかとたずねられそうなキーワードがいくつもでてくるから、序盤はしゃらくせ〜て思いながら読んだ
結局キーワード過多に意味があったかといえばまじでなんにもなかったと思う、ただの作者の趣味、趣向、センス、でもそんな作者が好き
この先生のしんじられんほどの青臭さが癖になってるんだわ
青春っぽい青春体験してないし、しててもこんな感じだったって人はいないと思うけど、自分の中の国語辞典にはこの先生の名前を書くよ 多分もうひと世代上は鍵を書く

いつも起承転結の転がうすくて、ここでなにか状況がひっくり返る程の悪いことが起きるんじゃないかってところはなんか通り過ぎて、まあ来るんだろうなってところで予想以上の難がきて、結は秒で巡り去ってくな
後半のだるさは感じないかわりに、緩みがない分疲労感がすごいし満足感になってる
この先生のラノベのシリーズが大好きだけど、作風としてはこういう単行本のほうが合ってる気がする
なんにもない日曜日の夜に一気に読みたいね
映画みてるみたいな心地だった

主人公のお父さんが本当は生きててただ離婚してただけだったっていうのが実はすごい大きいと思ってて、子供たちの青臭い青春と大人の現実の掛橋みたいだった
その直前に玻璃のお母さんが殺されていたって判明したのが対比になっているようで、これだけで話の重み全然変わったと思う
主人公はずっと子供の青臭い精神をもってて、それがこの創作世界と現実の乖離で、だからこそUFOと戦いきれたんだろうな

作者さんがどうしようもない大人の世界の悪に抗う青臭い善良な主人公と個性派美少女ヒロインの勧善懲悪ストーリー、あとついでに主人公の気のいい友人といい女な負けヒロインが好きすぎる

ラノベレーベル刊行だったら2人で幸せになって終了だった
そんな世界を求めつつ物語としていちばん刺さるこのストーリーを享受できたこの世界がいちばん気持ちいいです…
幸せを願う気持ちと話を楽しみたい気持ちの両面待ち

オチはめちゃくちゃ良かった、けどガチのオチというか最終ページらへんはしょうもね〜て思ってる
玻璃ちゃんに視点が移ったあとの物語の必要性はまだ私にはよくわかんないです

池の存在はもっと伏線はってくれててもよかったな